「把」構文
「把」は目的語を前に出すための道具ではなく、対象に何が起きたかを言う構文です。対象の変化と語順のモーフを見ながら、主語+把+対象+動詞句を自分で組み立てます。
結論と使い分けの判断
「把」は対象を動詞の前に出して、その対象がどうなったかを前面に置く構文です。動詞句が結果まで言い切っていることが条件になります。
対象の初期状態
机の上に、これから読む本があります。この時点では対象に何も起きていません。
- 我行為者
- 看動作
- 完了結果
- 那本書対象
同じ出来事でも、通常語順は「私が何をしたか」を、把構文は「その本がどうなったか」を前に出します。動詞句が結果まで含んでいることが把構文の条件です。
1つまずき
日本語話者が間違いやすいポイント
日本語の「を」をそのまま把に置き換えてしまう
把は「を」の訳語ではありません。対象に何かが起きて、その結果まで言い切るときの形です。動詞が裸のままだと、何が起きたのかが言えていないので成立しません。
比較で理解
言わない形
我把中文學。
學だけでは対象に何が起きたか言えていません。把構文には結果や範囲を示す部分が要ります。
言える形
我學中文。
習うという行為そのものを述べるなら、通常語順で十分です。
否定を把のうしろに入れてしまう
日本語の語順につられて動詞の直前に否定を置きたくなりますが、把構文では否定も助動詞も把より前に出ます。
比較で理解
言わない形
我把書沒看完。
否定が把のあとに入っています。台湾華語ではこの位置に置けません。
言える形
我沒把書看完。
否定は把の前に置きます。「その本を読み終えるということをしなかった」と言えます。
対象が変わらない動詞に使ってしまう
把構文は対象に何かが起きる構文です。好き・知っている・見えるのように、対象を変化させない動詞とは組みません。
比較で理解
言わない形
我把他喜歡了。
喜歡は相手に何かを起こす動作ではないので、把とは組みません。
言える形
我喜歡他。
気持ちを述べるだけなら通常語順です。
2ルール
形を確認する
主語 + 把 + 対象 + 動詞句
対象を動詞の前に出し、そのうしろで「どうなったか」を言い切ります。動詞句には結果補語(完・好・破など)、方向補語、了などが付きます。
基本の型
主語 + 把 + 対象 + 動詞 + 結果/方向/了
対象は「どれのことか分かっているもの」
把のうしろに来るのは、話し手と聞き手のあいだで特定できている対象です。那本書、我的手機、這件事のように、どれを指すか決まっているものを置きます。
基本の型
把 + 那/這/所有格などで特定された名詞
否定・助動詞は把の前
沒、不、要、可以などは把より前に置きます。動詞の直前ではありません。
基本の型
主語 + 沒/要/可以 + 把 + 対象 + 動詞句
3見分ける
使い分けを確認する
出来事を述べるか、対象の結果を前に出すか
比較で理解
- 我看完了那本書。
私はあの本を読み終えました。
出来事をそのまま述べる通常語順。
- 我把那本書看完了。
私はあの本を読み終えました(その本を最後まで片づけた)。
対象を前に出し、その本がどうなったかを主題にしている。
まとめどちらも同じ出来事です。前者は「私は何をしたか」、後者は「その本がどうなったか」が主題になります。
ドアが開いた、という結果まで含める
比較で理解
- 他打開門了。
彼はドアを開けました。
通常語順。開けたという出来事の報告。
- 他把門打開了。
彼はドアを開けました(ドアが開いた状態になった)。
ドアに残った結果まで含めて言っている。
まとめ把構文にすると、ドアが開いた状態になったことまでが一つのまとまりとして伝わります。
否定の位置だけが違う
比較で理解
- 我把書看完了。
私はその本を読み終えました。
どの本かは場面から決まっている。
- 我沒把書看完。
私はその本を読み終えませんでした。
否定は把の前。了は消える。
まとめ沒は把の前です。動詞の直前には入りません。
手を動かす
ミニ練習
机の上の本は、今は読み終わった状態になっています。その本がどうなったかを前に出して伝えたい場面です。
この場面に合うのはどれですか。
私はその本を読み終えました。(その本がどうなったかを前に出して)
組み立てた文
- 下のタイルから選んでください
タイル
彼はドアを開けた。(ドアが開いた状態になったことを前に出して)
まず声に出すか書き出してから、回答例を開いてください。ここでの判定はあなた自身が行います。
用例
例文
- 我看完了那本書。
私はあの本を読み終えました。
出来事をそのまま述べる通常語順。
- 我把那本書看完了。
私はあの本を読み終えました(その本を最後まで片づけた)。
対象を前に出し、その本がどうなったかを主題にしている。
- 他打開門了。
彼はドアを開けました。
通常語順。開けたという出来事の報告。
- 他把門打開了。
彼はドアを開けました(ドアが開いた状態になった)。
ドアに残った結果まで含めて言っている。
- 我把書看完了。
私はその本を読み終えました。
どの本かは場面から決まっている。
- 我沒把書看完。
私はその本を読み終えませんでした。
否定は把の前。了は消える。
- 他把杯子打破了。
彼はコップを割ってしまいました。
打破という結果が対象に残っている。
- 我把衣服洗好了。
私は服を洗い終えました。
好が「ちゃんと終わった」という結果を担っている。
現地の感覚
台湾での使い方
頼むときの把
請把門關一下。/幫我把這個拿過去。のように、依頼でもよく使います。対象がどうなってほしいかまで言うので、指示が具体的になります。
失敗を伝えるときの把
我把手機摔破了。のように、意図しない結果にも使えます。誰がやったかより、対象がどうなったかを先に伝える形になります。
次の一歩
続けて練習する
Shunkanでは、この文法だけを取り出して練習します。文法ジャーニーの進み方は変わりません。